バリューチェーンと商品プラットフォーム

ユナイテッドアローズは、店頭を営業活動の起点ととらえ、お客様の声を全工程に活かした取り組みを行っています。

仕入商品とオリジナル企画商品の両方に強みを持つことによる商品開発力、ブランドポートフォリオから店作りまでを管理する商品プラットフォーム、楽しいお買物を演出する接客サービスと店舗環境。さまざまな取り組みがバリューチェーンの中で相乗効果を発揮し、当社の競争力の源泉となっています。

商品の流れ(バリューチェーン)

バリューチェーン

ブランドポートフォリオ
当社の全ブランドをそれぞれのコンセプトに基づいて縦軸に価格帯、横軸にファッションテイストで配置したポジショニングマップを作成し、ブランドポートフォリオを管理しています。各ブランドのコンセプトを表現できるポジションを明確にすることで、ターゲットとなるお客様層を定義し、それぞれのニーズに合った商品を提供します。このブランドポートフォリオをバリューチェーンの中心に据え、商品計画から販売までの全ての過程をターゲットとするお客様に最適化しています。
① ディレクション
ディレクションとは、春夏、秋冬の各シーズンの方向性を示すものです。ファッションマーケティング部門が最新のファッション情報(カラー、素材、コレクションなど)や社会潮流などを背景として発信する全社ディレクションをもとに、各事業がそれぞれのポジション、ターゲット層に合ったディレクションを設定しています。
② MD(商品計画)

各事業のディレクションをベースにMDが立案されます。近年の気候変動やお客様の消費意識の変化に対応するため、1年間を最大8つのシーズンに区分して商品計画を行う8シーズンMDを、2015年春夏シーズンから段階的に導入しています。以前は1年を6シーズンに区分していた商品計画を、梅春・春・初夏・盛夏・晩夏・初秋・秋・冬の最大8シーズンに分け、細分化された各シーズンの気温やお客様動向に対応した商品を提供します。加えて品番数を精査し、必要在庫量を見極めた上で投入することで、定価販売比率の向上と在庫増加の抑制を狙います。販売状況に応じて週次、月次の検証と修正を繰り返し、追加生産、期中新規商品の企画、アウトレットを活用した早期消化など、きめ細かい軌道修正を行います。

③ バイイング
バイヤーは国内外の展示会やコレクションに出向き、商材の見極めと、数量・仕入価格・納期など買付けの交渉を行います。人気ブランドとの別注商品の開発のほか、オリジナル企画商品が完成するまで携わり、他社と差別化された商品の供給を行います。既存ブランドとの信頼関係の強化に加えて、有望なブランドの発掘も当社の使命ととらえ、バイヤーは日々自分の目と足で情報収集と新しい人脈開拓に駆け回っています。
④ 商品企画
各事業のディレクションと MDをもとに、デザイン・素材の開発やパターン作成を行います。商品のサンプルは販売部門にも共有し、店頭で得たお客様の声を取り入れながら商品開発を進行します。バイヤーの買付け出張にデザイナーも同行して世界のファッショントレンドの把握に努めたり、お互いに情報交換を行ったりすることで、仕入とオリジナル企画両方の機能を持つメリットを活かし、より差別化された商品の開発につなげています。
⑤ 生産
MDやアイテムごとの仕様・特性に応じた生産委託先の工場の選定、原料・副資材などの調達背景の設計、原価管理などの生産戦略を立案します。発注後は、委託先の工場と連携を密にしながら、納期・品質・コストの管理を行い、商品完成までの工程をフォローします。お客様の声を生産企画にも活かしたり、委託先の工場と品質管理のための定期ミーティングを行ったりすることで、縫製・加工など仕上がり品質の向上を目指しています。また、労働者の安全性確保の取り組みとして、工場の選択に当たっては児童労働・強制労働等の法令違反がないことや、報酬・労働時間等、公正な労働環境の整備について事前確認を進めています。
⑥ 物流
物流会社との協業により、グループ合計で国内 6カ所の物流センターにて在庫の集中コントロールを行っています。2018年5月に操業を開始した流山物流センターでは、大型物流機器を導入して運営の省人化を図り、物流コストの低減と安定的な物流運営を行っています。
⑦ 宣伝
宣伝部門では、MDをベースにした販売促進活動を実施します。ターゲットとなるお客様層の趣味・嗜好などに応じ、カタログ、雑誌広告、SNSなどのウェブ販促を組み合わせた販促戦略を立案・進行しています。
⑧ 店作り
実店舗においては、店舗立地やお客様の特性に応じた店作りを行っています。MDカレンダーに基づいたウィンドウディスプレイや商品陳列、販促戦略に合わせたPOPの設置などを通じ、お客様に商品を訴求します。
⑨ 店舗運営 ~ ⑩ 販売
実店舗ではお客様一人ひとりの要望に応え、その期待を上回る満足と感動を提供するような接客を目指しています。販売員の自立的成長を促す「ES(エデュケーター・スチューデント)制度」や「束矢大學」などの研修制度、「セールスマスター」や「束矢グランプリ」などの優秀な販売員の表彰制度により、販売員の知識・スキルとモチベーションの維持向上を実現しています。ネット通販では、自社で「ユナイテッドアローズ オンラインストア」を運営しているほか、「ゾゾタウン」などのネット通販サイトへも出店しています。「ユナイテッドアローズ オンラインストア」においては「ユナイテッドアローズ ハウスカード」の会員制度と一元化し、ポイントサービスも共通化するなど、実店舗とネット通販の連携を高める取り組みを進めています。「ユナイテッドアローズ アウトレット」は、各事業の過年度在庫や期中スローセラー商品を継続的に消化する役割を担います。アウトレット店舗における早期の在庫消化は、レギュラー店舗の商品の鮮度維持と高値換金による売上総利益の確保やキャッシュ・フローの改善に貢献しています。
シーズンごとの振り返り

春夏、秋冬の各シーズンの終了後に、MDや商品企画についての振り返りが行われます。MDは適正であったか、店舗への商品配分は適切であったか、ターゲットとなるお客様層とのズレはなかったかなどを検証し、翌シーズンのMDに反映させています。

商品プラットフォーム

当社のバリューチェーンにおいて大きな役割を果たしているのが、商品プラットフォームです。商品プラットフォームとは、MDプラットフォームと生産プラットフォームから成る商品の仕入・生産~投入~消化活動を支える仕組みで、2007年3月期に導入しました。担当者の経験やスキルに左右されやすい業務を標準化・仕組み化することで、安定したMD業務の遂行を実現します。

 MDプラットフォームとは、商品の流れにおける現状の把握と次の判断を助ける仕組みです。全事業で統一された進捗管理表と指標により、売れ筋商品については追加生産、スローセラー商品については消化促進対策といった判断を行い、在庫消化率や換金率の良化につなげます。

 生産プラットフォームは、MD計画を具現化するための仕入・生産戦略を策定する仕組みです。事業ごとに持つ原料・素材調達、生産工場の情報を全社で集約した上で、事業や商品の特性に応じた最適な生産工場を選択しています。仕入・生産に係る仕入原価とリードタイムを適正化させることで、「5適」を満たす商品の提供を目指しています。

商品プラットフォームの変遷

2007年3月期の導入から、当社では商品プラットフォームを段階的に進化させてきました。最初の4年間では、全事業への導入を行っています。MDプラットフォームでは売上総利益率、最終消化率、残在庫率などの重要指標のモニタリングと分析、業務プロセスの可視化、標準化を進め、生産プラットフォームでは事業ごとに持つ工場情報の共有、主要取引先の選定と精査や、連携強化などを推進しました。その後の5年間は安定稼働に向けた取り組みを強化しました。MDプラットフォームでは重要指標のモニタリングと分析を深めて予算実績管理の精度を高め、生産プラットフォームでは主要工場の管理体制を強化し、納期・品質・コストの適正化を進めました。2016年3月期から2017年3月期にかけては、お客様の変化に向けた取り組みを進めました。MDプラットフォームでは気候の変動やファッション購買行動の変化に対して8シーズンMDを導入することで、それぞれのシーズンに応じた適時、適量の品ぞろえにつなげ、定価販売比率の向上を目指しています。生産プラットフォームではMDの細分化に沿って適地適産を進め、きめ細かな商品投入に対応する生産背景の整備に努めています。

現在の商品プラットフォーム運営

これまでの商品プラットフォームは、当社のバリューチェーンにおける商品計画・進捗管理、生産管理業務までを支援するものでしたが、多様化するお客様のニーズに対して的確な商品提供を行うことを目的に、2018年3月期よりブランドコンセプトやターゲットなども含めたバリューチェーン全体を包含する仕組みに進化させています。

 MDプラットフォームでは、ブランド、色、サイズなどで区分されていた商品コードに、フェミニンモード、スタンダードカジュアルなどのテイストを示す属性コードを追加しました。属性コードを付加することで、どの事業に、どの属性の商品を、どの程度展開しているのかを指標で管理できるようになります。これまで定性面に偏りがちだった商品テイストの検証を定量的に行い、商品計画の精度の向上につなげます。同時に週次、月次の業務フローを標準化することで、事業特性に左右されないMDプラットフォームの運用を行っています。

 生産プラットフォームでは、各事業のコンセプト、ターゲットに対応できる生産背景を早期・的確に選定し、MD計画をサポートしています。当社の持つアトリエ* 機能を活かしてオリジナル企画商品の完成度を高め、ターゲットとなるお客様に最適化した商品作りを行っています。

* アトリエ:商品サンプルを自社内で作成するための工房。短時間で精度の高いサンプルを自作し、工場への生産発注の際に使用することで、商品の完成度や品質を高める。現在、一部の主力商品で活用中。

Loading