Medium-Term
Management Plan
中期経営計画
長期ビジョン 2032
当社が長期的にありたい姿として2032年(2033年3月期)を目標とする長期ビジョン「美しい会社 ユナイテッドアローズ、真善美を追求し続けることでサステナブルな社会の実現に貢献し、お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになる」を発表しました。
長期ビジョン達成時において、当社は高感度・高付加価値ライフスタイル提供グループでありたいと考えています。これは創業来掲げている日本の生活文化のスタンダードの創造であり、日本において高感度な生活をするために当社が欠かせない存在であることです。ファッションを軸にした既存ドメインでの成長拡大に加え、アパレル以外の領域への進出も検討・実施し、業容と顧客層を拡大させることで生活文化のスタンダードの創造と長期ビジョンの達成を目指します。
新型コロナウイルスの影響も続いていた2023年当初の長期ビジョン策定時と現在において、内部環境、外部環境とも大きな変化がありました。この変化を受け、低価格帯のコーエン事業を譲渡し、当社の強みを生かせ、更に成長余地の高い中高価格帯マーケットに経営資源を集中しつつ、M&Aも含めた非アパレル市場の取り込みを視野にホールディングス化に向けた準備を進めています。これらを背景に、2026年5月に長期の連結売上目標を従前の2,500億円から3,000億円、営業利益については300億円(営業利益率10.0%) に上方修正しました。売上高の内訳は既存事業で2,300億円、台湾、中国を含む海外事業全体で200億円、新規アパレル、アパレル派生、アパレル以外の領域で500億円~を見込んでいます。
長期ビジョン実現に向けた4つの課題認識
長期ビジョンの実現に向けて、現在当社が認識する課題を4項目に整理しました。
1.年齢軸の課題
当社は団塊ジュニア層を中心に支持されている反面、10代、20代に対する訴求は十分ではありません。一方、10代、20代の方々であっても客単価は1万円台半ばから2万円台半ばの高い水準です。この層を拡大させていくことにより、高感度・高付加価値を維持しながら業容拡大が図れると考えています。
2.ファッションテイストにおける課題
当社の主要ブランドはトラッド、コンサバティブなテイストに集中しており、カジュアル、モード、ストリート、フェミニンなど、十分に獲得できていない領域はまだまだ存在します。
年齢軸、ファッションテイスト軸の二つの課題は、国内アパレル市場の中でも当社の成長余地が十分にあることを示すものだと捉えています。
3.業容における課題
高感度なライフスタイルを提供するにあたり、当社が提案できている分野はまだファッションにとどまっています。近年、アウトドア、ゴルフ、ウェルネスなどの取り組みを進めてはおりますが、ライフスタイル全般を提案できる規模には至っていません。海外ビジネスも台湾地区が中心となっており、中国本土に向けた取り組みは上海、深圳等一線都市への出店を一部スタートした段階で本格化はこれからです。ここも今後の伸びしろとなり得る部分です。
4.効率化の課題
中長期を視野に入れた商品管理基幹システムの見直し、商品調達のデジタル化、 OMO推進に向けた設備投資、今後の業容拡大に向けた物流再編など、各種インフラ投資を伴う取り組みが残されています。長期ビジョンの達成に向け、適切な投資を行っていく必要があります。
中期経営計画 2026-2028
これらの課題を解決し、長期ビジョン達成に向けた中期経営計画2026-2028のテーマは「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループになる」です。
中期経営計画に基づく2029年3月期の定量目標として、以下を目指してまいります。
- 連結売上高
- 1,850~1,950億円
- 連結営業利益
- 115~125億円
- 連結営業利益率
- 6.1~6.3%
- 連結ROE(自己資本当期純利益率)
- 14.3~15.7%
3つの主要戦略
中期経営計画は、「Ⅰ.高感度顧客満足No.1ブランドになる」、「Ⅱ.高感度顧客を世界に広げる」、「Ⅲ.高感度顧客との新たな接点を築く」の3つの戦略により構成されています。
1.高感度顧客満足No.1ブランドになる
前中期経営計画において国内既存事業は当初の予想を大きく上回り、単体で1,541億円の実績を残すことができました。この金額は当初長期ビジョン達成時の目標として掲げていた水準で、国内既存事業のポテンシャルの高さを示しています。本中期経営計画においても、国内既存事業において売上高の拡大、売上総利益率の改善を図り、グループ全体をけん引します。
■売上高の成長
・客単価上昇による売上拡大
売上高の成長に向けて客単価の上昇を図ります。急激なインフレが続いた過去3年間において、当社は客単価を引き上げながらも客数を減らすことなく売上成長を果たすことができました。クオリティの向上を伴う価格の改定を行い、これからの3年間も客単価の増加と客数の増加を両立させていく方針です。
・新店+移転・改装を通じたお客様との接点拡大
出店戦略においては、新規店舗の出店に加え、今後は移転・改装も積極化させます。前中期経営計画において単体売上は前中期末の130.1%となりました。この増収分のうち、13.8ptは過去3年間に行った新規出店による押上げ効果です。さらに移転・改装した店舗の売上高前年比は約118%と既存店成長を大きく上回る実績を残しており、移転・改装も売り上げドライバーになっています。移転・改装店舗においては、良好な立地条件や家賃条件を持ちながら、現在ご来店いただいている顧客層の属性把握もできています。今の店舗環境が持つ課題を解決できるレイアウト、内装を行うことで、さらに買上客数を増やす効果が出ています。
■売上総利益率の改善
・UA3.0を活用した売上総利益率の向上
売上総利益率については、2025年4月から稼働が始まった商品管理基幹システムUA3.0の有効活用を図ります。生産関連情報をもとに当社商品の原価構造を可視化し、事業別の状況を精緻に把握することができます。可視化された生産関連情報を元に、クオリティを落とすことなく調達の安定性とコストメリットを踏まえた最適な調達先を選定し、仕入れ原価率の低減をはかります。
加えて、在庫配分の適正化を進め、商品消化率の向上、在庫回転の改善を目指します。ブランドの特性、シーズン進行、販売施策などを踏まえた上で店舗毎に基準在庫を設定し、シーズン毎に仮説と検証を繰り返しながら最適水準を確立します。欲しいところに、欲しい商品が置いてある状態を作って販売機会ロスを減らし、商品消化率を向上させて売上総利益率を改善します。消化率の向上はアウトレットでの過年度在庫消化の縮小につながり、売上総利益率の安定化が図られます。
2.高感度顧客を世界に広げる
本中期経営計画ではグローバル拡大を目指し、中国、台湾での出店を拡大します。
中国についてはハイエンド商品の需要が高く、一線都市を中心にユナイテッドアローズ、ビューティー&ユース、ドゥロワーなどのハイエンドブランドの出店を図り、3年間で8店舗の出店、売上高31億円を目指します。台湾についてはグリーンレーベル、シテンの需要が強く、12店舗の出店、27億円を目指します。その他のエリアについてもフランチャイズや卸、グローバルECを通じて12億円を目指し、海外全体で70億円を予想しています。本中期経営計画は本格的なグローバル拡大への土台作りの期間ととらえ、次の中期経営計画において収益化を図ります。
3.高感度顧客との新たな接点を築く
新たな事業領域への拡大に向け、M&Aも選択肢に入れてユナイテッドアローズテイストのライフスタイル領域、ユナイテッドアローズとは異なるテイストのアパレル、高価格帯アパレルに事業領域を拡張します。
ホールディングス化も、この取り組みを進めるためのものです。TABAYAホールディングスという名前には、
・ユナイテッドアローズの日本語意訳である束矢(TABAYA)
・文字通り複数事業を束ねた組織体であることが分かること
・今後更にグローバルに向けていくにあたり日本語が由来の社名であることが有効
・ユナイテッドアローズの名称を直接的に付さないことでM&Aの実効性が高まること
などの狙いが込められています。
今までのユナイテッドアローズグループが持つ価値観にとらわれず、高感度・高付加価値を基準に多種多様なブランドを誘致し、TABAYAホールディングスを日本を代表する高感度・高付加価値ライフスタイル提案グループにしていきます。
人的資本投資
当社は新中期経営計画において、人事ビジョンとして「ユナイテッドアローズの販売職を社会に誇る職業とする」ことを掲げました。この考え方は販売職に限らず、ECや物流等も含む職務に適用されるもので、各職務はすべてお客様価値創造を支える重要な役割を担っています。社員一人ひとりが自身の仕事の意義と価値を自らの言葉で体現することで、当社の企業文化はより誇り高いものとなり、それが競争優位性の源泉になると考えています。
具体的には、生産性と報酬の連動を重視しています。新中期では、1人当たり売上総利益(売上総利益生産性)の年平均成長率、社員の平均年収成長率について同水準での向上を目指します。これは、全社員で生産性を高め、その成果を確実に従業員へ還元するという強い意思を示すものです。
また、継続的なエンゲージメント向上への投資も重要な施策です。当社では年次の従業員意識調査を通じて重点領域を特定していますが、コロナ禍以降は「経営との対話」「経営方針」「教育投資」が主要なドライバーとなっています。これは、社員が会社の方向性と自身の成長機会に強い関心を持ち、主体的に企業の未来を創る意識を持っていることの表れと捉えています。
さらに、過去5年間の分析により、エンゲージメントと生産性の間には因果関係が確認されています。エンゲージメントが1ポイント向上すると、翌年の生産性が0.8ポイント向上する傾向が見られました。すなわち、人への投資はエンゲージメントを高め、エンゲージメントの向上は財務価値の創出につながる構造となっています。
人的資本投資は、事業成長と品格ある企業文化を生み、社員の誇りを醸成します。その誇りは、商品・販売・財務・ITなどあらゆる現場での価値提供に反映され、ステークホルダーとの信頼関係を構築します。当社はこの信頼をブランドと同様の非財務資本と位置付け、将来のキャッシュフロー拡大につなげていきます。
当社の人的資本経営の根幹は、「正しい経営」と「正しい人事」の同期にあります。社員を主役とした経営を通じて、持続的な企業価値向上を実現してまいります。
OMO
本中期経営計画では高感度顧客様との関係性を深め、安定的な収益基盤を構築するため、集客・OMO・CRMを一体で推進してまいります。
まずはお客様との接点拡大です。データやAIを活用し、当社のターゲットである高感度顧客層に対して精度高くアプローチすることで、効率的に店舗の入店客数、ECのセッション数の増加を図ります。
次に、OMOです。お客様にとって欲しい商品を、欲しいタイミングで確実に購入できる体験を実現するため、UA3.0を活用した在庫配分の最適化により、欠品や過剰在庫を抑制しながら、販売機会ロスの最小化を図ります。さらに、万が一店舗で欠品が発生してもオンラインと連携することで購入を可能とし、機会損失の防止と購買体験価値の向上を図ります。
最後にCRMです。164万名の高感度顧客様にご利用頂いているUAクラブの購買・行動データを活用することによりパーソナライズを強化し、来店頻度や一人当たり購買額の向上につなげ、顧客生涯価値の最大化を図ります。
これらの集客、OMO、CRMのサイクルを回すことで、稼働会員数を現在の164万名から200万名へ拡大し、会員売上高1200億円の達成を通じて、安定的かつ成長性の高い収益基盤を構築してまいります。
キャピタルアロケーション
今後の3年間においては、キャッシュフローを生み出す源泉として、人的資本に今まで以上にしっかりと投資を行い、そこから生み出されるキャッシュフローを原資に、株主還元を拡充しながらも、より営業設備投資を増やしていく方針です。
3年間の予想営業キャッシュフロー320~330億円と期末現預金を原資に、実店舗投資を116~121億円、EC、OMO関連投資を10億円、物流などのインフラ投資を30~35億円行いつつ、配当と自己株買いを含め100~125億円の株主還元を予定しております。
また本中計期間では、新規開発の手段としてM&Aにこれまで以上に積極的に取組んでまいりますが、M&Aの資金につきましては主に借入を予定しております。その額につきましては、DEレシオ1倍までを目安に最大365億円の借入枠を想定しており、財務の健全性を損なうことなく、M&Aに備える方針です。
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