社長メッセージ

2017年3月期の総括をお願いします。

2017年3月期は、商品や販売面の新たな施策が改善につながりつつあるものの、天候不順やお客様の消費動向の変化に対して、社内の改善が十分に追いつかなかったという認識です。

 業績面では、ネット通販(EC)が在庫拡充やハウスカードとの会員統合などの施策も奏功し、好調に推移しました。オフィスウェアのカジュアル化や機能性衣料のニーズ拡大によって「グリーンレーベル リラクシング(GLR)」や「ビューティ&ユース」が好調だったものの、「ユナイテッドアローズ」や「コーエン」が苦戦しました。

 その結果、連結売上高1,455億円(前期比103.3%)、同経常利益94億円(前期比84.3%)と、増収減益となりました。


新「中期ビジョン」
策定の背景について教えてください。

現在、日本のマーケットはお客様の洋服への価値観や買い方に変化が見られるとともに、「GLR」や「コーエン」が位置するミッドトレンドおよびニュートレンドマーケットの領域が広がっています。今までが日本独特のファッションマーケットで、現在は世界のファッション先進国と同じ環境になってきたと感じています。内部環境としては将来的なクロムハーツ事業の譲渡というポートフォリオの変化があり、同事業の譲渡完了までに新たなポートフォリオを構築する必要があります。こうした社内外の環境変化に合わせた対応が、現在の課題と認識しています。

 環境が変化する中においても変わらない当社の強みは、今まで築いてきた「お客様との信頼関係」です。今後、当社の目指すべき方向としては、「お客様との信頼関係」という強みをより活かした形でマーケットの変化に対応し、再成長へ向けた強い経営基盤を作り直すことが重要であると考えました。

新「中期ビジョン」の位置付けと今後の成長ドライバーについて教えてください。

長期持続的な成長へ向けて、強い経営基盤を確立することに集中する3年間と位置付けています。3年間の前半では、不採算事業や店舗の見直しを中心に行い、後半からは成長に向けた新規の投資も行っていきます。単にシュリンクさせるのではなく、まずは収益性を改善させ、それから長期に向かった新しい打ち手を行っていく考えです。

 今後は、ミッドトレンド・ニュートレンドマーケットにおける売上拡大と同時に、この領域と親和性の高いECを拡大させていくことが、業績を牽引していくと考えています。従来当社が強みとしていたトレンドマーケットでは量より質を追求し、さらなるブランド力の向上を目指します。そのブランド力を活かして、ミッドトレンド・ニュートレンドマーケットでは当社の優位性の高い領域を拡大します。またECではリアル店舗に近いサービスレベルを提供できるようにしていくことで、長期的には売上高構成比25~30%にまで高めます。

2018年3月期の主な取り組みについて教えてください。

2018年3月期は、収益性の早期改善を経営方針に掲げています。ここ数年の外部環境の急速な変化に対して打ち手のスピード感に欠けたことに加え、新規事業への取り組みなどにより、2015年3月期からの減益基調が続きました。そのため、まずは経営資源の配分を見直し、収益構造の改善を進めます。

 具体的には、定価販売比率の向上や気温変動の影響を受けづらいビジネス需要および式典需要の強化により売上総利益率を改善するとともに、品番数の削減や商品投入時期・量の適正化を通じて在庫効率を改善させます。非効率な業務や不要なコストを抜本的に見直し、販管費率の改善につなげます。また、引き続きオンラインストアへの在庫供給を増強することでEC売上を拡大し、収益性を改善させます。「中期ビジョン」の1年目として、強い経営基盤の確立に向け、これらの施策を推進します。

ESGに対する考え方について教えてください。

長期持続的な成長に向けて、社会との共存は欠かせません。当社においては「社会との約束『5つの価値創造』」として、社会と共存していくことを理念体系に掲げています。現在、ダウンのリサイクルや商品売上の一部を寄付するなど、事業を通じてお客様とともに社会価値の創造に取り組んでいます。

 また、お客様価値を創造する源泉でもある従業員の育成や、モチベーション・働きがいのある職場づくりにも力を入れています。当社は創業から28年となり、従業員のライフサイクルの変化もあり、人材獲得および育成は重要な課題と認識しています。2017年3月期からは、従来行っていた「ES(エデュケーター・スチューデント)制度」の再徹底を行い、人材育成に取り組むとともに、店頭の接客クオリティの強化も図ります。

 コーポレートガバナンスについては、社外取締役への適切な権限の委譲を通じて取締役会のモニタリング機能の強化と意思決定の迅速化を図ることができるものと考え、前期に監査等委員会設置会社へ移行しました。同時に2016年に実施した取締役会の実効性評価において課題に挙がった「十分な審議時間の確保」に向け、取締役会決議事項の見直し等を実施することで、審議時間の確保に努めました。「中期ビジョン」の策定に当たっても、「今この段階まで議論を進めているが、意見が欲しい」という形で、私から積極的に社外取締役に意見を求めています。社内では当たり前に思っていたことに対して、社外の視点で厳しい意見をいただくことで新たな気づきも多くあり、現在、議論は非常に活発化しています。また、監査等委員会設置会社への移行に併せ、指名・報酬等委員会を設置しました。取締役と株主の皆様との価値共有をより一層促進し、中長期的な企業価値向上に資する報酬体系の構築に向け、多くの時間をかけて討議した結果、2018年3月期より譲渡制限付株式報酬制度を導入することとなりました。

株主の皆様へのメッセージをお願いします。

この3年間では規模を追うのではなく、収益力を高め、株主の皆様にご評価いただける体制を構築します。経常利益において年平均成長率8%、2020年3月期で経常利益率7%以上を目指します。利益還元の考え方として、ROE16%以上、配当性向35%以上を目標とし、DOEを5.5%以上とすることで、利益還元の継続的な充実を図ります。持続的な成長に向けた収益力の向上と成長投資、安定的な配当を行い、成長と還元の両立を伴う経営を実践します。

 2017年3月期の業績は期初計画を下回る結果となりましたが、1株当たり配当金を78円(連結配当性向44.7%、DOE 7.3%)と、前期より据え置くこととさせていただきます。

株主・投資家の皆様には、当社グループの今後の事業戦略にご期待いただき、より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

Loading