社長メッセージ

2018年3月期の総括をお願いします。

2018年3月期は、商品戦略の柱である基本商品政策の社内浸透を進め、価格と価値のバランスを十分に見極めた価格設定を行うとともに、気温変動の影響を受けづらいビジネス需要や式典需要などへの対応を強化して売上の安定化を図りました。

 業績面では、ネット通販(EC)が引き続き好調に推移しました。(株)ユナイテッドアローズのメンズカジュアルおよびウィメンズ全般が好調だったことに加え、構造改革が奏功した(株)コーエンが大きく業績を伸ばしています。

 その結果、連結売上高1,544億円(前期比106.1%)、同経常利益107億円(前期比 114.4%)と、増収増益となりました。


中期ビジョン
の進捗について教えてください。

初年度となる2018年3月期は、「収益性の早期改善」をグループ方針とし、特に売上総利益率・在庫効率の改善、販管費率の改善、EC拡大による収益改善を、重点取り組みとして推進しました。具体的には、不採算事業や店舗の撤退、8シーズンMDの浸透による在庫効率の改善、ECへの積極的な在庫供給に伴う機会ロスの低減などの施策を行いました。

 売上総利益率・在庫効率の改善は、シーズン立ち上がり時期の商品投入量を減らし、シーズン進行に合わせてMDを修正できる商品調達サイクルに変えており、その効果が現れています。

 販管費率は、売上増やたな卸資産の改善・効率化による低減を進めつつ、中長期に向けた戦略投資を実行し、前期並の水準となりました。加えてさまざまな業務の見直しも行っており、今後これらの取り組みが業績に反映されてくると考えています。

 EC拡大による収益改善も着実に進展しています。ハウスカードとオンラインストアの会員統合に加えて、自社ECサイトとブランドサイトの統合リニューアルを行い、利便性を強化していることなどが、お客様からご評価いただいていると認識しています。

 中期ビジョンの初年度として取り組んだ定量目標は全てクリアでき、現在の進捗に確かな手応えを感じています。

2019年3月期の主な取り組みについて教えてください。

2019年3月期は、「中期戦略の徹底推進」をグループ方針とし、引き続き収益改善・成長基盤の確立に取り組みます。不採算事業・店舗の精査や収益構造の健全化の継続に加え、中長期の成長に向けた投資も行っていきます。

 本部の組織体制も中期ビジョンの戦略に適合させ、従来の「ユナイテッドアローズ(UA)」、「ビューティ&ユース(BY)」、「グリーンレーベル リラクシング(GLR)」、「スモール ビジネス ユニット(SBU)」の4つの事業部門体制から、UA、BYを中心にトレンドマーケットを担う第一事業本部、GLRを中心にミッドトレンドマーケットを担う第二事業本部の2つの事業本部に括り直し、SBU内のストアブランドについてはそれぞれの適正に応じて各事業本部傘下に振り分けました。新しい組織体制において、トレンドマーケットは質の向上を図り、商品調達やモノづくりから店頭での接客まで磨きをかけていきます。ミッドトレンドマーケットは今後も広がりが想定されるため、出店による拡大を図っていきます。

 成長に向けた投資では、RFID*1の導入に加え、中長期の成長に向けた物流センターの再編を行います。RFIDは先行して「GLR」や「コーエン」に導入しており、棚卸業務や店舗出荷業務の軽減といった効果が現れています。今後、段階的に全事業へ導入し、実店舗の効率的な運営による販売員の業務環境改善を図ります。将来的には、商品動向の詳細把握によるMD分析への利活用も検討します。物流センターの再編については、大型マテハン*2機器を導入した最新型の物流センターを開設しました。大型機器の導入によって運営の省人化を図り、物流コストの低減につなげるほか、今後の小売環境や物流業界の変化に対応できるキャパシティを確保します。これらの投資は、中長期成長に向け、確実なリターンにつながるものと考えています。

*1 RFID:ICタグに記憶された個別情報を無線通信によって読み書きする自動認識システム。流通業でのサプライチェーン・マネジメント、物流業でのトレーサビリティや倉庫での重要物品管理などに導入が拡大しています。

*2 マテハン機器:マテリアル・ハンドリングの略。倉庫内の運搬、入出荷作業をサポートする機器を指します。

コーポレートガバナンスの取り組みについて教えてください。

当社は、コーポレートガバナンスの継続的な充実により、長期的かつ継続的な企業価値の向上を目指しています。以前より、独立社外取締役の着実な増員やコーポレートガバナンスコードに準拠した取り組みの推進に加え、2016年には監査等委員会設置会社への移行や指名・報酬等委員会の設置など、コーポレートガバナンスの強化に積極的に取り組んできました。指名・報酬等委員会も設置以降精力的に活動しており、2017年には中長期の業績に連動した取締役報酬制度への改定を決定しました。

 また、2018年には、社内取締役を2名増員しました。これは、経営と執行の距離を縮めて、スピード感を持って時代対応を図っていくためです。今回行った組織体制の変革に合わせ、各事業部門の代表が経営に参画することで、タイムリーに課題を認識して手を打っていくということもできます。また、新しい世代が経営に参画することで、取締役会の多様性が向上するとともに、今後の中長期に対して一緒に展望を持って取り組んでいきたいと考えています。

株主の皆様へのメッセージをお願いします。

中期ビジョンは、策定時の反省や課題に対して一つひとつしっかりと取り組むことで、業績として目に見える成果にもつながっています。今後は、組織風土や人事改革として、経営理念の再浸透、社内コミュニケーションの活性化、ジョブローテーションの検討や評価制度の見直しを行うなど、全社一丸となって中長期的な成長に向けた基盤を作ります。その他将来の成長に向けた取り組みとして、衣料品以外のドメイン拡大や海外展開についても調査・検討を行います。構造改革により再成長への基盤固めが整いつつある「コーエン」においては、2018年4月より「コーエン オンラインストア」の台湾展開を開始しています。このように中期ビジョンの達成に向けて、しっかりと足元を固める施策を進めるとともに、将来を見据えた投資も行うなど、強い経営基盤の確立に向けてまい進していきます。

 なお、2018年3月期の業績は、1株当たり配当金は78円(連結配当性向42.1%、DOE6.6%)と、前期より据え置くこととさせていただきました。

株主の皆様には、当社グループの今後の事業戦略にご期待いただき、より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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