第2【事業の状況】

当社グループの消費税等に係る会計処理は、税抜方式によっているため、この項に記載の売上高、販売実績、仕入実績等の金額には消費税等は含まれておりません。

 

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、景気の回復傾向とともに各企業が設備投資に積極的になり、さらには、雇用面においても人材確保を急ぐなど、原油高の高止まり等の外需要因が懸念されたものの好調さを持続し推移いたしました。

当社グループが属する衣料品等小売業界におきましては、政府主導の「クールビズ」および「ウォームビズ」による新たな購買需要が喚起され、さらには、個人の消費マインドの好調さにも支えられるなど、業界全体が比較的明るい雰囲気に包まれた1年となりました。

このような状況のもと、当社におきましては、「スーパーSPA構想」の実現に向けて、従来取り組んでまいりました構造改革に加え、「商品」「販売」「経営」、それぞれの面において質的向上を目指し、各種施策を実施してまいりました。

まず「商品」面では、「購買需要の山」に連動した商品調達を可能にするため、過去の実績データに基づき、1年間の販売期間を6つにまで細分化し検証を進めるなど、きめ細やかな施策を打てるような体制を構築いたしました。

次に「販売」面では、お客様へのサービスを更に向上するためのツールとして「ハウスカード」をUA業態全店舗、さらにはスモールビジネスユニット(以下、「S.B.U.」と言います。)へも導入いたしました。

そして、「経営」面では、利益水準の改善を目指すため、主に以下の取り組みを実施しました。

@ 「売上総利益率の更なる向上」を目指すため、生産・技術・仕入・品質管理を強化する目的で設置した「商品統括部」を中心に様々な原価低減策を検討し、促進してまいりました。

A 「在庫水準の適正化」を推進するため、まずはGLR業態において店頭を起点とした週次MD(=売上・仕入・在庫に関する週次計画立案と進捗管理)を導入いたしました。

B 「販管費比率の低減」、つまり「コスト意識の向上」を全社的に浸透させるため、経費削減アイデアを全社員向けに募集し、応募案件を一つ一つ実行に移してまいりました。

当社および当社グループにおける主な取り組みは、以下のとおりとなります。

■株式会社ユナイテッドアローズ

◇UA業態

UA業態は23 店舗体制を維持し、売上高は前期比5.5%増の29,775 百万円となりました。出店面等については、以下のとおりです。

(増床店舗)

・平成17 年6月 : 渋谷公園通り店(東京都渋谷区)

・平成17 年9月 : 横浜店(横浜市西区)

(改装店舗)

・平成17 年9月 : 池袋店(東京都豊島区)

なお、オリジナルブランド「SOVEREIGN」および「DISTRICT」のイメージ向上を担うショップとして運営するため、「ザ・ソブリンハウス」「ディストリクト ユナイテッドアローズ」の2店舗は業態内での「レーベル イメージストア」に位置付けを変更いたしました。

◇GLR業態

GLR業態は、多店舗化・多形態化を積極的に推進したことにより、当期末で27 店舗体制となり、売上高は前期比22.0%増の10,072 百万円となりました。出店面等については、以下のとおりです。

(新規出店)

・平成17 年9月 : 岡山店(岡山県岡山市)

・平成17 年10 月 : 千葉店(千葉市中央区)

・平成18 年3月 : みなとみらい店(横浜市西区)

(増床店舗)

・平成17 年8月 : 名古屋店(名古屋市中区)

(改装店舗)

・平成17 年9月 : 船橋店(千葉県船橋市)

・平成18 年3月 : 町田店(東京都町田市)

なお、同業態の中で新しい形態店舗として、働く女性を主な顧客対象とした「ファサードグリーン」、ビジネスマンを対象とした「オドナタ」の展開をそれぞれ開始いたしました。出店状況は以下のとおりです。

・平成18 年3月 : ファサードグリーン 松屋銀座店(東京都中央区)

ファサードグリーン 大丸梅田店(大阪市北区)

・平成18 年3月 : オドナタ 大丸梅田店(大阪市北区)

◇CH業態

CH業態は3店舗体制を維持し、売上高は前期比17.4%増の3,099 百万円となり、好調に推移いたしました。

既存の「クロムハーツ トーキョウ」「クロムハーツ オオサカ」の2店舗をはじめ、リニューアルした「クロムハーツ ハラジュク」の認知度も更に高まり、従来のシルバー、レザー製品のラインアップを強化することで、来店客数が増加いたしました。

◇S.B.U.およびUAラボ(実験店舗)

当期末のS.B.U.およびUAラボは6事業、24 店舗となり、合計した売上高は前期比51.3%増の5,130 百万円となりました。

なお、S.B.U.とは、将来に向けて多店舗展開を目指す小型事業群を指し、それぞれの事業の取り組みの内容につきましては、次のとおりとなります。

(チェンジズ事業)

平成17 年5月にオリジナル商品を充実させた「ジュエルチェンジズ 新宿店」(東京都新宿区)を新規出店し、同事業は当期末で3店舗体制となりました。

(オデット エ オディール事業)

同事業は順調に成長しており、以下の出店を含め、当期末で6店舗体制となりました。

・平成17 年9月  : 横浜店(横浜市西区)

・平成17 年10 月 : 日本橋店(東京都中央区)

・平成18 年3月  : 立川店(東京都立川市)

なお、平成17 年9月には、既存店舗の新宿店(東京都新宿区)を増床いたしました。

(ダージリン・デイズ事業)

前期からスタートした同事業は、以下の出店を含め、当期末で4店舗体制となりました。

・平成17 年6月 : 丸の内本店(東京都千代田区)

・平成18 年3月 : 梅田阪神店(大阪市北区)

次に実験店舗であります、UAラボの今期の取り組みは、次のとおりとなります。

(時しらず事業)

平成17 年8月、既存店舗の代官山店(東京都渋谷区)を増床し、商材の種類を増やし、販売機会の拡大を目指しました。

■当社グループ

◇株式会社フィーゴ

イタリア製の鞄等の輸入、卸売および販売を主たる業務としている株式会社フィーゴは、平成17 年11 月にUAグループに加わり、当社と相乗効果を発揮しながら、成長拡大を目指してまいりました。

同社は主力商品である「Felisi(フェリージ)」ブランドの鞄、その他小物類や「corthay(コルテ)」ブランドの靴を中心に高価格・高品質な商品を取り扱っており、当期においては、それぞれのブランドの各種オーダー会を開催するなど、お客様のご要望にきめ細やかに対応してまいりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は53,813 百万円、連結営業利益は7,663 百万円、連結経常利益は7,639 百万円、連結当期純利益は4,076 百万円となりました。

なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、7,650百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、6,596百万円となりました。

これは主に、たな卸資産の増加540百万円や法人税等の支払額2,802百万円等の支出があったものの、税金等調整前当期純利益7,075百万円、有形固定資産の償却費565百万円、仕入債務の増加1,803百万円等の収入があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、3,423百万円となりました。

これは主に、新規出店および改装等に伴う有形固定資産の取得による支出941百万円、無形固定資産の取得による支出215百万円、および連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,740百万円等があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、648百万円となりました。

これは、短期借入金の純増加額1,975百万円、長期借入金の借入による収入7,950百万円、自己株式の取得による支出8,077百万円ならびに配当金の支払が352百万円あったこと等によるものであります。

 

 

2 【販売及び仕入の状況】

(1) 販売実績

当社グループは、一般消費者を対象とした、店頭での紳士服・婦人服等の衣料品ならびに関連商品の販売を主たる業務としております。取扱商品は多岐にわたっておりますが、トレンドを見極めた上で国内外からセレクトして仕入れる調達商品と、市場の動向をタイムリーに反映できる自主企画商品とを組み合わせることにより、幅広いアイテムを多様なテイストで提案しております。

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

@ 商品別販売実績

 

商品別

当連結会計年度

(自 平成17年4月1日

至 平成18年3月31日)

メンズ(百万円)

22,547

ウイメンズ(百万円)

19,576

シルバー&レザー(百万円)

4,111

雑貨等(百万円)

1,843

その他(百万円)

5,734

合計(百万円)

53,813

(注)

上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

シルバー&レザーとは「CHROME HEARTS」ブランドの銀製装飾品および皮革製ウエアであります。

 

数量については、商品内容が多岐にわたり、その表示が困難なため記載を省略しております。

 

「その他」には、アウトレット、催事販売、連結子会社の売上が含まれております。

 

当連結会計年度から連結財務諸表を作成しているため、前年同期との比較は行っておりません。

 

 

 (2) 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績を商品別に示すと次のとおりであります。

 

商品別

当連結会計年度

(自 平成17年4月1日

至 平成18年3月31日)

メンズ(百万円)

11,544

ウイメンズ(百万円)

10,727

シルバー&レザー(百万円)

1,682

その他(百万円)

1,567

合計(百万円)

25,521

(注)

上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

雑貨等および連結子会社の仕入実績については、金額的重要性が低いため「その他」に含めて表示しております。

 

当連結会計年度から連結財務諸表を作成しているため、前年同期との比較は行っておりません。

 

3【対処すべき課題】

今後の衣料品等小売業界は、国内の景気回復を受けて、雇用・所得環境がさらに改善され、個人の消費マインドが好転するなど、先行きに明るさは見られます。

しかしながら、お客様の嗜好・価値観等が年々多様化し、かつ商品への「こだわり」が強まっており、お客様のニーズを的確に捉えられない企業は自然淘汰を強いられるという、厳しい経営環境にあると思われます。

そのような状況のもと、当社といたしましては、引き続き「スーパーSPA構想」の実現に向けて、「商品」「販売」「経営」のそれぞれの面において質的向上を図ることはもちろんのこと、中長期的な成長拡大に向けて抜本的な施策に取り組んでまいります。

まず、主力業態のUA業態では、「リ・ブランディング(ストアブランドの再構築)」を掲げ、年齢・テイストが多様化しているお客様のご要望に、正確、かつ的確にお応えするため、以下の2つのストアブランドに分割し、コンセプト等を明確にした上で事業を展開いたします。

「ユナイテッドアローズ」

「豊かさ・上質さ・クラス感」を主なキーワードとして、ドレスラインの商材を中心に取り揃え、大人の男性・女性のお客様にご満足いただくためのライフスタイル提案型フルラインストア

「ビューティー アンド ユース ユナイテッドアローズ」

若い男性・女性のお客様に向けて、「時代を反映したスポーツ(カジュアル)」の商材を中心に据えながら、カジュアルのテイストを加えたドレス商材から生活雑貨までをも取り揃えたフルラインストア

GLR業態では、新規形態店舗の「ファサードグリーン」および「オドナタ」の2つを推進するとともに、同業態全体を通じて多店舗化を目指し、売上高の拡大を促進してまいります。

さらには、S.B.U.の中でも突出した成長を続けている「オデット エ オディール」事業については、出店を加速し、積極的な事業展開を図ってまいります。

また、経営面におきましては、「週次MD(マーチャンダイジング、=商品計画)の推進」、「自主企画商品の開発力強化」、「CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の強化」、「店頭業務効率化による売上の拡大」を全社の重点取組課題と位置づけ、関連各部門が能動的に連携し進捗させることで、安定成長の基盤作りを進めてまいります。

なお、連結子会社であります株式会社フィーゴにつきましては、消費者の嗜好の変化を常に意識し、商品企画を通してそれに順応できる体制の構築を目指すとともに、売上規模拡大のため、百貨店および地方小売店など、取引先の新規開拓を図ってまいります。

 

4 【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

@ 衣料品等のトレンド変化や天候不順による季節商品の販売動向、および輸入仕入に関する為替レートの急激な変動が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

A また、社内コンプライアンス体制強化に努めておりますが、社内に保有する顧客情報の漏洩等によるブランドイメージの失墜などが発生した場合は当社グループの業績に悪影響を与える場合があります。

B 当社グループは、米国のクロムハーツ社とのライセンス契約に基づき、クロムハーツ(CHROME HEARTS)商品のオンリーショップ(専門取扱店)を国内に3店舗(青山・原宿・大阪)出店しております。なお、同社製品は消費者の嗜好の影響を受けやすいため、今後の当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。また、経営方針、財務状況またはその他の事由により当事者間にて意思の不一致が生じた場合、ライセンス契約の内容見直しや最悪の場合は契約解消もあり得るため、その際には当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性もあります。

なお、平成18 年3月期の当社グループにおける同社製の銀製装飾品や皮革製品の売上高は、4,111 百万円(連結売上高構成比7.6%)であります。

 

5【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

特記事項はありません。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 財政状態

当連結会計年度につきましては、営業活動により得られた現金及び預金の増加により、期末の現金及び預金の額が7,752百万円となったこと等が要因で、当社グループの総資産は35,334百万円となりました。

 負債合計は20,769百万円となりました。主な要因は自己株式取得のための借入金の増加および業容拡大に伴い未払金が増加したことによるものであります。

 株主資本につきましては14,565百万円となりました。主な要因は企業環境の変化等に対応した機動的な資本政策の遂行と資本効率の向上を図る目的で自己株式8,075百万円を取得したことによるものであります。

 

(2) 経営成績

 「1 業績等の概況 (1)業績」をご参照ください。