スタッフインタビュー

社会価値の創造

まず第一に、世界に通用する新しい日本の生活文化の規範となる価値観を創造し続けることこそが、社会価値の創造につながると考えています。またその過程においても、法令の遵守や環境保全など、社会との信頼関係を築き、社会の発展に貢献していきます。

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「041プロジェクト」や「REプロジェクト」を通じて、世の中にないもの、長く使っていただける 価値ある服を提供し続けていきます。

ファッションマーケティング部
神出 奈央子

ユナイテッドアローズは「いまだ解決されていない誰か一人の課題」を起点に、プロダクトやサービスを開発するプロジェクト「041」のファッション分野に参画しました。「041」は「ALL FOR ONE」を意味するもので、高齢者や障がい者など、従来のマーケティングやデザインの過程で応えきれていなかった、一人ひとりの声に耳を傾け、新しい商品やサービスを創造していく「インクルーシブ・デザイン」に挑戦しています。世の中にないものを開発し、長く愛用いただける価値を創造することにさらに注力してまいります。

どんな経緯でユナイテッドアローズに入社したのですか?

幼いころからファッションに興味があり、地元・京都の短大のアパレル造形学部に進学し、繊維学などまで幅広く学びました。卒業後は東京に出てきてOEM会社に就職し、アパレルやセレクトショップなどを担当し、工場様とのやり取りを担いました。勤務の傍ら、専門性を高める為に、ニットとパターンそれぞれの専門学校にも通いました。取引先の一つが、ユナイテッドアローズで、先輩が「アナザーエディション」を担当されていました。

「アナザーエディション」は原宿の路面店に続き2号店として出店したのが京都で、学生時代によく通っていたお店であり、仕事を通じても興味深いものづくりが行われていると感じていました。お客様目線でも取引先目線でも素敵だと思い、2008年にデザイナーとして入社することになりました。2015年からはクリエイティブディレクターを務めさせていただきました。

ファッションマーケティング部ではどのような仕事をされているのですか?

この部署では、全社に向けて社会潮流やトレンドなどを伝えるディレクションの発表や、商品企画やMDに役立つお客様層分析・お客様層マップ作り、各ブランドのディレクションのサポートなどを行っています。私は2月に異動したのですが、主に、障がいのある方に向けた「041(オーフォアワン)」プロジェクトなどを進めています。大好きだった「アナザーエディション」では、お客様やスタッフの志向もよく掴めており、誰に向けてどのような服を作るのかが明確だったので自信を持って服作りができていました。しかし、残念ながらブランドが終了することが決まり「服作りをこれからどのように行っていけば良いのか」と少し仕事との向き合い方がわからなくなっていました。そんなとき、栗野宏文上級顧問から「1人の方と深く向き合い、1着を作る」という「041」のコンセプトやミッションを聞き、「そういう服作りなら取り組ませていただきたい」と思い挑戦することにしました。

「アナザーエディション」も同様に、以前から「世の中にないものを作りたい」との思いが強く、また学生時代から高齢者や障がい者の方々など幅広い方に向けたユニバーサルデザインの分野にも関心がありました。「アナザーエディション」とは表現の仕方が違っても、今の世の中にない、必要とされる服が作れることに喜びを感じました。

あらためて、041プロジェクトとはどのようなものなのか説明していただけますか?

041は「ALL FOR ONE」を意味するもので「いまだ解決されていない誰か一人の課題」を起点に、プロダクトやサービスを開発するプロジェクトです。社会起業家の方々が「メディア・クリエイティブ・ソーシャル」の力を結集して“WE”の力で社会課題と向き合うソーシャルユニット「Social WEnnovators」が母体となっています。2016年に発足し、障がい者も健常者も分け隔てなく楽しめるスポーツとして、子どもから高齢者まで参加できるトントンボイス相撲など、スポーツの分野で先行事例がありました。そんな中、ファッションでお困りの方が多いということで当社にお声掛けいただき、今春、ファッション分野で初の協業レーベルとして「UNITED CREATIONS 041 with UNITED ARROWS LTD.」を立ち上げることになりました。

高齢者や障がい者など、従来のマーケティングやデザインの過程で除外されがちだった方々を含めて、一人ひとりの声を聞き、その多様な声に応えながらともに新しい商品やサービスを創造していく「インクルーシブ・デザイン」に挑戦しています。第1弾商品として6型を開発し、4月から「041」のウェブサイトで受注を実施しました。(6月初旬で受注は終了しました。)

041プロジェクトの服作りを通じて印象深かったのはどのようなことでしたか?

私が担当させていただいたのは、頸髄損傷で全介助が必要な女性の方でした。一度ヒアリングをしたうえで企画デザインを考えたのですが、二度目にお会いした際、実際に着替えの介助の様子を見せていただくと、自分が想像していたものとは、まったく違った現実がありました。例えば、服にゆとりがあれば着やすいと思っていたのですが、寝た状態ではきれいに着用できたとしても、車椅子に座る際に位置がずれてしまうことがわかりました。また、しわや縫い代が背面や臀部にあると、床ずれの原因にもなってしまう。むしろ体にフィットしたり、足入れの場所が一定であったりするほうがご本人にとっても着衣を手伝う介助の方にとっても良いという発見がありました。楽という機能性だけでなく、きれいに着られて、ファッションを楽しめるようにして差し上げるには想像以上にハードルが高いとも感じました。

そんな中で光が見えたのは、車椅子に座った状態で、持参した商品サンプルのフレアスカートを体に当てられたときです。控え目で、冷静な方でしたが、その瞬間、ご本人がとてもうれしそうな表情をされました。しかもそれがとてもお似合いでした。そのような経緯から脇に3本のダーツを入れることで、シルエットはタイトでも、座ったときにはストレスがかからない適度なゆとりがでるデザインにしました。その後は、パタンナーやプロジェクトメンバーと打ち合わせをし、ダーツの位置や長さ、丈感など、試着を重ねながら随所をブラッシュアップしていきました。実際に出来上がったものを着用された際に、とても喜んでいただけたのも印象深かったです。良いものができたと自負しているのですが、本当に必要な方々にまだまだ届いていないとも痛感していますので、世の中にこの服の存在を知っていたただくことがこれからの課題だと思っています。

今後、社会価値の創造に向けて、どのような仕事や活動をしていきたいと考えているのですか?

現在、世の中にたくさんの商品やブランドがある中で、「ここでしか作れないもの」「消耗品ではなく、長く使っていただけるもの」を提案することで、新しい価値を提供することができるのではないかと考えています。当社では傷が付いてしまった商品や、店舗で使用していた什器を必要に応じて手を加えて販売する「REプロジェクト」もスタートしています。今までのようにゼロから洋服を作ることも大切ですが、ちょっと視点を変えて、今ある機能や今あるものを使って新たな価値を創造することも、これからの時代には必要なのではないでしょうか。

041も、当社の洋服作りのノウハウを生かして、今までとは違った分野での洋服作りにチャレンジしているという意味では、まさにここでしか作れないもの。そういう意義のある取り組みをこれからも考えていきたいと思っています。

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