社長インタビュー

5つの価値創造を通じ、社会に貢献する存在として、100年企業を目指していきます。

ユナイテッドアローズは、「店はお客様のためにある」という社是に基づき、「お客様価値」「従業員価値」「取引先様価値」「社会価値」「株主様価値」という5つの価値創造を追求し続けています。1989年の創業から28年を経て、仲間や店舗数や取引先様が増え、会社が成長し、社会的責任も大きくなっていますが、それらはすべてお客様からの評価があってのことです。今後もCSR活動を通じて、お客様価値の最大化に全力で取り組んでいきたいと思っています。

ユナイテッドアローズのCSRに対する基本的な考え方とは?

「お客様価値」「従業員価値」「取引先様価値」「社会価値」「株主様価値」という5つの価値を創造し続けることが、私たちにとって揺るぎのない基本方針となっています。なかでも一番大切にしているのが「お客様価値」です。お客様への価値提供が鈍化すると、お買い上げいただけず、その他の価値も創出できません。

逆に、価値提供に対してお客様から評価をしていただくということは、商品をご購入いただくことです。私たちとして一番にお客様価値の向上を目指したいと考え、“売上”をKPI(重要業績評価指標)としてみています。お客様に対してそれらの価値や商品を直接提供しているのが従業員であり、支えていただいているのが、仕入れ先やデベロッパーなどの出店先、情報発信をしていただいているメディアの方々などを含めた取引先様です。適正な原価や営業活動費として経費を有効活用し、“利益”を上げます。それらをふまえて税金を支払い、社会で営みをしていくために正しい寄付行為をすることが「社会価値」になり、最終的には会社を支えていただく「株主様価値」の向上にもつながると考えています。

働き方改革が叫ばれていますが、どのようにして従業員価値を向上させようとしているのですか?

当社は創業時から「販売スタッフの地位向上」を掲げてきました。私たちはただモノを売るのではなく、私たちが提案するものに付加価値を付けてお客様にお届けしたいと思っています。私たちのお店にわざわざお越しいただいたり、オンラインストアをご覧いただいたりしているのは、期待されている証拠です。その期待に応えるためには、スタッフの人間力を磨き上げていくことと、常にリフレッシュした最高な状態でいることが必要です。本を読んだり美術館に行ったり旅をしたり、話題の店やレストランに行くなど、さまざまな経験を積むことで、人間性を高め、話題の引き出しを増やしてほしいと思っていますし、スポーツを楽しんだりおいしいものを食べて、しっかりと休息をとることも大切なことです。そのためにも、残業の管理や有給休暇の取得の推進に取り組んでいます。

社会的背景もありますが、深夜残業が続くような中では正しい価値提供ができるとは思いません。残業の極小化のために、社を挙げて業務を棚卸し、無駄の削除、時間配分や効率化など、正しい業務のあり方に向けて構造改革をしています。また、有給休暇が取りやすい環境作りも進めています。お客様にたくさんいらしていただいている繁忙店など、有給休暇が取りづらいと感じてしまうような店舗や事業もありました。そこで、各事業の本部長にミッションとして、有給休暇を取得できるような運用を徹底してもらうようにしました。まずは本部では上司から、店舗では店長から率先して休むなど、スタッフが有給休暇を取りやすい環境を作りつつ、最低取得日数を設定するといった、制度の整備にも注力しています。

さらに、従業員教育の再構築を行い、後輩と先輩をペアにして共に学び合う、当社独自の現場教育制度“ES(エデュケーター・スチューデント)制度”を強化していきます。会社が大きくなり事業が分化していく中で運用などに差が出てきていた部分があったのですが、すべてを見直し、全社横串で風土や制度を整えようというものです。人材獲得がますます難しくなる中で、AI(人工知能)にはできない、熟練や積み重ね、人間性が必要になってきます。さまざまな施策によって、結果的に従業員の価値、満足が上がり、当社で長く働いてもらうことで、お客様価値につなげていきたいと思っています。 一方で、営業時間が長いデベロッパーに対しては、営業時間の短縮の呼びかけも行っています。テナントの理事会で「深夜におよぶ長時間営業を続けていては、従業員の採用はますます難しくなるし、この産業自体に魅力が感じられなくなってしまう」と3年間言い続け、まだまだ不十分ではありますが、ようやく一部で営業時間の短縮が実現してきたところです。

最近は、お客様の生活習慣が変わってきていて、夜は自宅でゆっくりスマホで商品をチェックしたりオンラインストアで買い物をしたり、外食ではなくてテイクアウトをして自宅で食べる方も増えています。こういった状況にあわせて、私たちも働き方を変えていくべき時であると感じています。

新たに立ち上げた「風土改革プロジェクト」とはどのような仕組みや狙いのものなのでしょうか?

社内の風通しを良くして、高いモチベーションを持ってより働きやすい生産性の高い会社にするために、従業員の声を取締役に提案する新たなプロジェクトを今年1月に発足しました。きっかけは、年1回行っている従業員の意識調査アンケートでした。回答率は90%以上で、やりがいや不満、理念へのコミットメントなどについて、選択式で記載するパートと自由コメント欄に分かれています。そこにいくつか気になる点を発見し、これは会社に対してはっきりとは表現できない“何か”があるなと感じ、これこそ、当社や組織の風土になってきてしまっているのではないかと心配になりました。また、いつのまにか経年進化ではなく経年劣化してしまっている部分があるのではないか、現場で制度疲労を起こしていることがあるのではないかという危機感も持ちました。

そこで、社長直轄のプロジェクトとして、まず「組織風土アンケート」を実施し、その結果に基づいて、何をもって当社の風土としていくのか、ネガティブな部分、ポジティブな部分、やりにくい部分、中庸の部分などをカテゴライズし、「理念・マインド・クリエイティビティ」「コミュニケーション・相互理解」「多様性・働き方」の3つにテーマを絞り込んでディスカッションしていくことにしました。北は札幌、南は福岡まで、日本全国からメンバーを集めています。特に「コミュニケーション・相互理解」では、事業内だけでなく、事業を超えた横のリレーションを強化していきたいですね。また、「多様性・働き方」では、年齢やライフステージ、勤務時間の異なるさまざまなメンバーに参加してもらっています。プロジェクト名には“風土”という言葉を使っていますが、「うちの風土は~」なんて話しているうちは他人事なんです。自分事として会社をどう良くしていくのか?課題をどう解決していくのか?という意識を持って取り組んでもらい、1年かけてまとめたものを取締役に提案してもらいます。組織設計などについても改善する良い機会にし、100年企業に向けて活性化を図っていきたいと思っています。

2月には、アスリート契約社員制度も導入しています。

従業員からの発案で実現したものです。当社で働く仲間には、“チャレンジド”と呼ぶ障がい者の方々もいます。その中に、2020年の東京パラリンピックの出場を目指して頑張っているスタッフがいました。練習時間を確保するためには仕事を辞めざるを得ないかと悩んだようなのですが、志を持ってチャレンジをしようとしている従業員の思いをバックアップする制度としてスタートしました。まず、地道に生活を支えるという方法で応援しています。

「社会価値の向上」では、東北や熊本の被災地支援なども継続しています。

東日本大震災の際には被災地復興チャリティプロジェクト「MOVING ON TOGETHER !」を立ち上げ、現在は熊本の被災地も含め、キャンペーンや商品販売を通じた寄付などの支援を続けています。幸いにも、昨年4月以降は日本では大きな災害は起きていませんが、社業を通じて継続的に社会貢献をしていきたいと行っています。「オデット エ オディール」では不要になった靴やバッグを回収・寄付することで、乳がん啓発活動の“ピンクリボン運動”に役立ててもらっていたり、「グリーンレーベルリラクシング」でもリサイクルペットボトルやリサイクルダウンを原料に用いた商品の販売、「ユナイテッドアローズ」では、アフリカのクラフツマンシップを生かし、経済的な自立を支援するレーベル「テゲ ユナイテッドアローズ」の継続など、取り組みが増えてきています。これからはペーパーレスやリサイクル、ショッピングバッグを削減するプロジェクトなどをもっと広げていくつもりです。

あらためて、5つの価値を高めるために、今後さらに注力していくことは何でしょうか?

お客様との信頼関係をより深めることです。当社は熊本の鶴屋百貨店にも出店させていただいているのですが、熊本地震後にお客様から寄せられた「ありがとう」や「がんばってね」など、「とっておきの話」を冊子にされたものをいただきました。そこには、お客様から求めていただくことの喜びや、洋服・ファッションはお客様の気持ちを豊かにするものであるということ、ファッションや社業を通じて、商品をお届けするだけではない価値を期待いただいていることなど、思いを新たにさせていただくような話がたくさん詰まっていました。私たちもお客様からいただくサンキューレターなどのお声に、すべて目を通していて、月間MVPを選んだり、イントラネットを通じて全社員が見られるようにしています。これらにいつも勇気付けられています。

eコマースはこれからもますます伸びていくでしょうが、実店舗での接客サービスがあるからこその伸びであり、この両輪をともに強化していくことが必要不可欠だと思っています。お客様との信頼関係をより深めることで、お客様にリピートいただいたり、「あそこの店のスタッフはいいよ」などと口コミで広げていただけたりもするでしょう。5つの価値向上を図ることが、結果として業績の向上にもつながってくると信じています。